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総合病院として院内外と連携することで、地域の認知症医療の中心を担う
<大分県佐伯市 社会医療法人 長門莫記念会 長門記念病院>

認知症疾患医療センター センター長 三宮邦裕先生 認知症疾患医療センター
センター長 三宮邦裕先生

九州地方の市町村の中で最大面積をもつ大分県佐伯市。同市にある長門記念病院は総合病院であると同時に、県南地区での認知症医療の拠点でもあります。一般的な内科疾患から急性期医療まで幅広く対応し、認知症の方も含め、地域の人々が安心できる医療を提供しています。

総合病院の強みを生かし、症状が混在している認知症や、身体合併症にも対応

長門記念病院は、前身の上尾病院から数えて100年以上にわたって、佐伯市の医療に貢献しています。へき地医療拠点病院と二次救急病院にも指定されており、2014年9月には認知症疾患医療センターにも指定されました。

精神科部長 河原澄男先生 精神科部長
河原澄男先生

同院の認知症疾患医療センターは、センター長の三宮邦裕先生が神経内科、精神科部長の河原澄男先生および佐伯保養院院長の廣瀬就信先生が精神科と、2科で診療しているのが特徴です。

物忘れ外来を受診する方の中には、脳血管障害、甲状腺機能低下症などの神経内科疾患や、うつ病などの精神科疾患が混在している方がいます。三宮先生は「精神科と神経内科、両者の観点から診察するので、“治せる認知症”も見逃しません」と話します。

また、河原先生は「レビー小体型と前頭側頭型など二つ以上の症状が混在することもあるため、三宮先生と協力して、認知症の的確な診断をするように心がけています」と言います。

県内の認知症疾患医療センターで、唯一の総合病院である同院では、他診療科との迅速な連携が可能です。例えば、認知症の方が骨折や肺炎などの合併症を起こしても、当該診療科の医師と協力して院内で治療できます。

「身体合併症も院内で治療できるため、患者さんやご家族があちこち受診せずに済むなど、負担を減らすことができています」(三宮先生)。

軽症から重症まで症状に合わせて対応できるよう、他院とも連携

同院は他院とも連携しています。質問によって認知機能を測定できるMMSE(認知機能検査)などの簡易検査、脳の萎縮を調べるMRIなどは同院で行いますが、脳の血流量を調べるSPECTなどの検査は、同市内の南海医療センターへ依頼します。BPSD(周辺症状)が強い方で入院治療が必要であれば、精神科・心療内科・老年精神科を専門とする、同市内の佐伯保養院へ相談します。鑑別が難しい若年性アルツハイマー型認知症の疑いがあるときは、大分大学医学部付属病院の神経内科に、最新の検査方法であるアミロイドPET検査を依頼し、アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβの脳内蓄積量を推定します。

「当院の得意分野や位置付けを明確にし、MCI(軽度認知障害)から重度のBPSDまで対応することで、少しでも多くの認知症の方やご家族の力になりたいと考えています」(三宮先生)。

多職種で関わることで、より良い認知症ケアを提供

同院では、河原先生・看護師・精神保健福祉士など多職種から成る認知症ケアチームを設置し、週1回のカンファレンスと病棟回診を実施しています。また、各病棟に“認知症ケアチーム員ナース”を配置し、認知症ケアの状況を把握しています。ほかにも、電子カルテ内に物忘れ外来専用の診察問診台帳を作成。多くのスタッフが認知症の方の情報を共有ですることがきます。

認知症看護認定看護師 宮脇洋さん 認知症看護認定看護師
宮脇洋さん

作業療法士 山崎誠さん 作業療法士
山崎誠さん

精神保健福祉士 河野彰吾さん 精神保健福祉士
河野彰吾さん

認知症看護認定看護師の宮脇洋さんは、週2回は各病棟の認知症の方の症状や日々の変化といった情報収集を行いつつ、認知症ケアチームが対応に注意が必要と判断した方への接し方について、病棟スタッフにアドバイスを行っています。また、覚醒・睡眠パターンが乱れた方には、すぐに睡眠導入剤を考えるのではなく、まずは生活パターンを把握するためにチェック表を使って観察を行っています。夜に眠れるようにするためには、日中の過ごし方を改善することが大切なのです。

「多くのスタッフが協力して、認知症の症状を改善に導くことで、スキルアップにつながり、より良い認知症ケアを提供できます」(宮脇さん)。

また、作業療法士の山﨑誠さんは、認知症の方へのリハビリテーションにも、多職種が関わるための工夫をしています。

「認知症の方々とスタッフが、一つのテーブルに集まって作業をすることで、1対1以上の関わり合いや、関係性が生まれます。さらに、作品をみんなで鑑賞することで、他のスタッフとのコミュニケーションも生まれ、認知症ケアに大切な、人と人とのつながりを強められています」(山﨑さん)。

精神保健福祉士の河野彰吾さんは「多職種がうまく関わり、情報を共有することで、より良い治療や公的支援へ迅速につなげるようにしています」と話します。

認知症の方の心の中まで考える

同院が患者さんと接する上で大切にしていることは、見て分かることだけでなく内面まで詳しく知ることです。河原先生は「診察室に入ってきたときの様子・歩き方・服装などをチェックするのはもちろん、ご本人の訴えを聞くことを最も大切にしています」と話します。

山﨑さんは、認知症の方一人ひとりの“物語”、生活史を把握することを大切にしています。

「夕方に病棟徘徊を頻繁に行う方がおられ、病室に戻るようお話をしても、なかなか戻ってくれないという状況でした。その方は校長先生をされていたので、『先生、生徒はみんな帰って教室にはいません。見回りを終えて帰りましょう』とお話をしてみたら、病室に戻られました。周囲には問題行動に見えても、ご本人にとっては意味のあることなのかもしれません。行動の裏側にある理由をその人の生活史から考えるようにしています」(山﨑さん)。

宮脇さんは、認知症ケアとは認知症の方に興味を持つことだと考えています。「認知症の方は、混乱して不安になっています。一人ひとりの生活史などを考慮しつつ、お話を傾聴し、言葉や行動の真意を考えることで、ケアのヒントが見つかります。スタッフ全員が真意をつかめるようになるため、まずはしっかりとお話を聞くことがスタートラインだと思います」(宮脇さん)。

地域と連携し、市民や医療従事者と協力

同院は地域連携にも力を入れています。月1回、隣接する「ケアタウンながと」で認知症カフェを開催し、認知症の方やご家族同士、相談員、地域の人との交流の場を提供するだけでなく、相談も受け付けています。また、センターのスタッフが市主催の相談会や講演会に行き、認知症についての講演やロコモ体操などの指導も行っています。

長門記念病院の皆さん 長門記念病院の皆さん

河野さんは「佐伯市内のさまざまな医療・介護機関の方々と協力し、 “佐伯市長寿支援ネット懇話会”という医療・介護従事者向けの勉強会も開催しています。参加者の技量向上や交流の場を提供することで、地域連携の強化を目指しています」と話します。

自動車運転の危険性を、ご家族にも理解してもらうことが重要

昨今は、高齢者ドライバーによる交通事故が、相次いで報道されています。しかし、佐伯市の大部分では車が生活必需品で、短い距離なら少しくらい物忘れがあっても運転させてもいいのではというご家族もいるといいます。このような状況を考慮して、同院では悲しい事故を少しでも減らそうと、ご家族に認知症の方の運転が危険であることを認識してもらう取り組みを行っています。

「ご本人に道路標識を見せて、『これはどういう意味ですか』と質問して、正しく認識できているかをご家族の前で確認します。そうすることで、ご家族がご本人の認識力を把握できます」(河原先生)。

より地域に根差した医療を目指して

見上げると笑顔になる院内の天井画 見上げると笑顔になる院内の天井画

地域の方からいろいろな相談を受ける中で、まだ困っている方が多いと河野さんは感じています。

「ご家族から『数年前から物忘れが気になっていたけど、どこに相談していいかわからず、そのまま経過を見ていたんです』という話を聞くことがあります。早期発見・早期治療につなげられる体制づくりが必要です」(河野さん)。

三宮先生は「当院は認知症初期集中支援チームの役割も担っているため、行政と一緒に困っている方々の掘り起こしにも取り組んでいきたいと考えています」と語り、行政とのさらなる連携を目指していきます。

かかりつけ医との連携強化も重要です。三宮先生は「かかりつけ医からの紹介はありますが、まだ一部の方に限られています。今後、認知症の方の数が増えることを考えると、行政や医療従事者が一丸となって支えていかなければなりません。認知症かどうかの鑑別診断と治療方針決定後の定期的な診察はかかりつけ医で、認知症の症状が重くなった場合の診察は当院で行う、という体制をつくることが今後の課題です」と語ります。地域の認知症医療の発展を目的とした、長門記念病院の取り組みはこれからも続いていきます。

 

取材日:2016年12月7日

長門記念病院の外観

社会医療法人 長門莫記念会
長門記念病院

〒876-0835  
大分県佐伯市鶴岡町1−11−59
TEL:0972-24-3000

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