ホーム > 地域から探す【関東信越】 > 新潟県 > 新潟県長岡市 特定医療法人楽山会 三島病院
医療機関を探す

「丁寧な対応」を基本に患者さん本位のケアを実践
<新潟県長岡市 特定医療法人楽山会 三島病院>

精神科部長 認知症疾患医療センター 副センター長 田中晋先生 精神科部長
認知症疾患医療センター 副センター長 田中晋先生

長岡市北西部、緑豊かで閑静な一画に建つ三島病院が開院したのは1979年のこと。以来、高齢者の精神科・内科・神経内科診療に高い専門性を発揮し、1995年には県指定の老人性痴呆疾患センター(現・認知症疾患医療センター)を開設。地域の認知症ケアにおいて中心的な役割を果たしています。

認知症をはじめ高齢者の診療に実績

三島病院は、精神科・内科・神経内科の外来診療を行う一方、341の病床を備え、慢性期の診療にも当たっています。

どの診療科目も高齢者のケアを重視しており、併設する認知症疾患医療センターと密に連携して認知症診療にも積極的に取り組んでいます。

2015年の認知症の新患は568人で、約200人がBPSD(行動・心理症状)の対応が必要な方でした。この他、内科の合併症で受診される方も少なくありません。認知症のタイプ別に見ると、アルツハイマー型が約半分で、レビー小体型、前頭側頭型と続きます。

精神科部長兼、認知症疾患医療センターの副センター長として多くの患者さんと向き合っている田中晋先生は、近年の状況を見て、次のように話します。「患者さんが外来に来られるきっかけは、ご家族など周りの方が物忘れなどを心配して、地域包括支援センターや地元のクリニックに相談し、当院を紹介されることが多いようです。以前に比べると、初期の段階で来られる方、自分の意志で来られる方が増えたと感じています」(田中先生)。

ねぎらいと共感が家族対応の基本

検査はまず、長谷川式簡易評価スケール、MMSE(認知機能検査)から始め、血液検査、脳波検査、MRIを実施。近年では髄液検査も取り入れています。これらの検査結果を総合的に判断し、Treatable dementia(治療可能な認知症)に留意しつつ、診断をつけています。

田中先生は「できうる限り慎重に診断し、患者さんとご家族に丁寧な言葉遣いで分り易く説明するように心掛けている」と言います。

「私を含めどの医師も非常に多くの患者さんを診ているため、ともすれば流れ作業的な対応になりかねません。しかし初診の患者さんとご家族にとっては、初めての診察ですから当然大きな不安を抱えておられます。まずは、ご家族をねぎらい共感することが大切。仮に、患者さんに対するご家族の言動などに問題があったとしても、それを責めることはありません。ご家族も、本意で言っておられるわけではないのですから」(田中先生)。

スタッフ全員が「さしすせそ」を励行

看護師長 松田三恵さん看護師長 松田三恵さん

患者さんとご家族に接する上で、スタッフ全員が大切にしているキーワードがあります。それは、理事長が掲げた“さしすせそ”です。

さ:さげすまない
し:しからない
す:すごまない
せ:せかさない
そ:素っ気ない態度をとらない

病棟担当の看護師長、松田三恵さんは「この5つを全員が励行しています」と言います。

「患者さんやご家族に接するときは当然のこと、院内のスタッフ間でもこれを言葉遣いや態度の基本に置いています。もちろん、新しいスタッフに対しても、同じように接しています」(松田さん)。

また、認知症の方への対応に関しては「スタッフ間の連携がことのほか大切」だと松田さんは指摘します。

「BPSDを含め、認知症状は人によってさまざまです。一人ひとりの情報を共有しながら、どう対応すればいいかを毎日のように皆で話し合っています。薬の服用はもちろん大事ですが、薬だけに頼らない方法はないか、自分たちにできることはないか、いろいろなアイデアを考え実践した結果、患者さんが落ち着かれると本当にうれしいですね」(松田さん)。

職種を超えた情報共有と連携のために

言語聴覚士 齋藤和幸さん言語聴覚士 齋藤和幸さん

言語聴覚士の齋藤和幸さんも「スタッフ間の情報共有を重視しています」と話します。

齋藤さんが担当している検査は、主に嚥下機能と認知機能。嚥下については、レントゲン技師と連携して造影検査を行い、齋藤さん、レントゲン技師、医師、看護師の多職種で検討します。時には、ご家族にも立ち会ってもらい、飲み込みの状態を確認してもらいます。また、認知機能検査は臨床心理士と連携しながら行っています。

どちらの検査結果もカルテへの記入が基本ですが、齋藤さんは「スムーズで細やかな情報共有のためには、ただ書くだけでは不十分」だと話します。

「嚥下機能の結果については、できるだけ造影画像を盛り込むなど“ぱっと見て分かる”よう工夫しています」(齋藤さん)。

一方、認知機能の結果については、看護師や看護助手に口頭で細かく伝えるようにしており、その際のポイントは「ご本人ができないことより、できることに重点を置くこと

だと話します。

「例えば、話はきちんとできる、字は上手く書けるなどと伝えておけば、看護師が普段患者さんに接するときに、それを上手く引き出してくれるはずですから」(齋藤さん)。

入院ではなく“病院で生活している”と捉える

作業療法士 今井健人さん作業療法士 今井健人さん

三島病院は52床の認知症疾患治療病棟を備えており、経験豊かなスタッフがケアに努めています。今井健人さんは、この病棟専従の作業療法士として、認知症の方と向き合っています。

午前中は集団活動として、入院患者さん全員を対象に体操や歌、レクリエーションを行い、午後は主に個別活動に取り組んでいます。

「患者さんが希望されることや好きなこと、得意なことを生かせる作業を選んでいます。例えば、カラオケ、塗り絵、貼り絵などですね」。

そう語る今井さんは「患者さんは、入院しているのではなく、ここで生活している」いう考えを対応の基本にしています。

リハビリテーション室リハビリテーション室

「単に作業をしてもらうのではなく、生き生きと楽しんでもら仮に患者さんが作業途中で手を止めていたら、やり方を工夫したり、手伝ったりして、作業する喜びや楽しさを感じてもらえたらと思っています」(今井さん)。

病棟では月に1度、楽しい催し物やおいしいおやつを食べるお楽しみ会も開催。看護師や介護士の方と話し合い、毎回企画を練っています。

常に敬意を持って接し、しっかり耳を傾ける

今井さんも齋藤さんも、患者さんへの対応の基本はやはり“さしすせそ”。今井さんは中でも“そ:素っ気ない態度をとらない”ことに留意しています。業務が忙しいときに声を掛けられると、ついついおざなりな返事になりがち。決してそうならないよう、できるだけ患者さんのそばに寄り添い話を聞くのが今井さんのモットーです。

「そもそも20代の私から見れば、患者さんはみな人生の大先輩。素っ気ない態度などもってのほかで、敬意を持って丁寧に対応するのが基本です。そうすればおのずと信頼関係も生まれてきますから」(今井さん)。

齋藤さんも「話を聞くこと、傾聴を重視している」と言います。職務である認知評価に際して傾聴が重要であることに加え、ご家族のストレスを和らげることにもつながるからです。

「介護のご苦労などを話されるうちに感極まって泣かれるご家族もおられます。私がお話を聞くことで、少しでも不安やストレスが少なくなるのなら、これからも時間を惜しまずに耳を傾けようと思います」(齋藤さん)。

地域での啓発活動にも積極的に取り組む

三島病院は地域の介護施設と連携して入所者の認知機能評価を行ったり、地元の医師会と協力して定期的に認知症対策推進委員会を開催したりと、組織的な地域連携に積極的に参画しています。また、一般市民への啓発活動にも力を注いでおり、田中先生もたびたび講師を担当。長岡市内には2016年夏時点で7ヵ所のオレンジカフェ(認知症カフェ)があり、そこでの講演のほか、各市町村での勉強会にも条件の許す限り出向いています。

「しかし、まだまだ啓発が足りません」と田中先生は話します。

「初期段階で来院される方が増えては来ましたが、一方で症状が重くなるまで診療を受けない方も少なくありません。それはやはり私たち医療関係者からの情報発信、啓発活動が不十分だからだと思います」(田中先生)。

認知症になっても安心して暮らせる地域を目指して

田中先生が危機感を募らせる背景には、地域の著しい高齢化があります。「例えば新潟県中越地震で被害のあった山古志地区などは、過疎化とともに高齢化が進んでいます。こうした地域が増え続けると、やがて高齢者を支えきれない状況になるかもしれません」(田中先生)。

皆さん皆さん

三島病院が中心的な役割を果たしてはいるものの、地域全体では認知症の専門医が足りないのが実情。齋藤さんは「認知症に積極的に関わっている言語聴覚士はわずかです。もっと人数が増えれば初期段階から関わっていけるはず」だと話します。

三島病院を退院したあとのケアも課題の一つです。看護師の松田さんは「施設は定員いっぱいで入所待ちのところが多く、患者さんも自宅に帰れるなら帰りたいと思っておられます。そうしたお気持ちを何とかくみ取ってあげたい」と話します。

いずれの課題も一つの病院、一つの施設だけではなく、地域の関係者が連携しての対応が必要です。

「『認知症になったらどうしよう』という地域ではなく『認知症になっても大丈夫』という地域にするために、当院としてできることを一つずつやっていきます」(田中先生)。

取材日:2016年11月22日

特定医療法人楽山会 三島病院の外観

特定医療法人楽山会 三島病院

〒940-2302
新潟県長岡市藤川1713-8
TEL:0258-42-2311

施設のホームページへ

 

 

この記事のURLをメールで送信
医療機関を探す
新着施設から探す
地域から探す
  • 北海道 近畿
  • 東北 中国
  • 関東・信越 四国
  • 東海・北陸 九州・沖縄
カテゴリーから探す
  • 社会が考える認知症予防・治療・戦略
  • 日常診療における創意工夫
  • チーム連携のさらなる充実
  • ふれあいつながる作品展
  • バアちゃんの世界
  • バアちゃんの世界からわかる認知症の症状と対応のヒント
  • 「笑顔とこころ」をつなぐ声
  • お薬(剤形)の選択肢が増えました
  • 患者さんとご家族のための認知症の知識
  • 認知症相談窓口
  • 認知症医療・介護に関わる知識を掲載認知症情報誌
  • 認知症サポーターキャラバン
  • サイト運営企業の取り組み
  • 医療関係者の皆さまへ
トップページへ