ホーム > 病院・クリニック訪問 > 新潟県小千谷市 山本医院

病院・クリニック訪問

地域に根ざした診療に努め、今後の地域連携も視野に
<新潟県小千谷市 山本医院>

院長 山本潔先生 院長 山本潔先生

脳神経外科医としての専門性をベースに、内科疾患にも広く対応して患者さんとご家族を支えている山本潔先生。開業から5年を経て地域に定着してきたことに手応えを感じながら、これからの地域連携の拡充にも意欲を見せています。

 

院内にはMRIに加え畳の部屋やピアノも

待合室に設置されたグランドピアノ 待合室に設置されたグランドピアノ
待合室には高齢者に配慮した日本間も 待合室には高齢者に配慮した日本間も

「開業して5年。ようやく地域のみなさんに知ってもらえるようになり、いろんなご相談が増えてきました」。

おだやかな口調でそう語る山本潔先生の専門は脳神経外科。山本医院ではそのほか内科、神経内科を標榜しています。

「開業前に勤務していた新潟県立小出病院のときもそうだったのですが、地域の医師の数がそもそも少ないので、専門の脳神経外科だけ診るというわけにはいかないのです。かねて内科まで対応していた経験が、開業してからの診療に非常に役立っています」。

院内にMRIを備えて画像検査に対応する一方、グランドピアノや畳の部屋など患者さんが癒される設備を設けているのが同院の特徴です。

「待ち時間が長くなる場合がありますので、そのあいだに少しでもくつろいでいただこうと、私の妻が時間の空いたときにジャズやクラシックを弾いています。また、畳の部屋は主にご高齢の方のためのスペースで、みなさんゆっくりお茶を飲んだり、横になったりしておられますよ」。

 

開業後、年々増え続ける認知症患者さん

同院の認知症の患者さんは全体の1割ほど。ご本人の物忘れの自覚、ご家族の心配、ケアマネジャーや地域包括支援センターからの勧めなど来院のきっかけはさまざまですが、年々増加傾向にあるといいます。

「開業当初は、認知症の患者さんがこれほど数多く当院を受診するとは思っていませんでしたが、高齢化率の高い地域ですし、当院が“神経”を掲げているのを知って相談に来られる方が多いようです。また、脳梗塞や糖尿病などを治療しているうちに認知症の症状が出てきて、併せて治療するケースもあります」。

その症状の表れを先生より先に、看護師らスタッフが気づくことが少なくないといいます。

「患者さんの中には医師の前ではうまく取り繕う方がいます。そうすると、こちらもすぐには気づきません。ところが医師の目が届かないところでは、ふとした言葉や動作に素の面が出てしまい、それをスタッフが発見するというわけです」。

 

画像診断を中心に慎重な鑑別を

認知症の鑑別は、山本先生による問診、看護師による長谷川式簡易評価スケール、MRI画像に加え、VSRAD(早期アルツハイマー型認知症診断支援システム)を用いた解析結果などをふまえて判断します。

「早期の段階ですと仮に臨床症状があってもアルツハイマー型認知症なのか、あるいは他の原因による認知症なのか判断が困難な場合があります。そこでMRIで特徴的な脳萎縮の所見が確認できない場合は、必要に応じて総合病院で脳血流シンチグラフィーを、またレビー小体型認知症が疑われる場合は、心筋シンチグラフィーを受けていただきます。特に若年性の場合はどうしても治療期間が長くなりますので、そのスタートになる診断の確定はとりわけ慎重に行います」。

重症度を考えて告知にも配慮

本人が物忘れを心配して来院する場合の多くは実際には認知症ではなく、また認知症の診断がついた場合でもそのほとんどの患者さんが早期の段階です。

山本先生は「すでにBPSD(周辺症状)が顕著な場合は最初から総合病院や精神科のクリニックに行くのではないか」ととらえています。

治療は薬物治療が中心。「きちんと服用してもらうためにも、ご本人が病状を理解できる場合は認知症であることを説明した方がいいと考えますが、説明自体が興奮や精神的な落ち込みにつながる可能性もあり、本人の理解度に合わせて治療が継続できるように患者さんに説明しています」。

 

できるだけ長く患者さんを診る

診断がついた場合、遠方で通院が困難であればかかりつけの先生に紹介することもありますし、また紹介されて来院された場合でも、ご家族やご本人の希望で引き続き加療することもあります。そして、症状が進んでBPSDが目立つようになっても、ほとんどの患者さんは認知症と一緒に高血圧症や糖尿病などもお持ちですから、できる限り継続して診るよう努めています。

そして先生は「BPSDはご家族の接し方が大事」だと指摘します。

「仮に患者さんが興奮していても、そのときうまく接して場を収めれば、患者さんは忘れてしまいます。ですからご家族の方には、できるだけその患者さんに合った対応を見つけて実践していただきたいですね。また安易に向精神薬を使ってしまうと、錐体外路症状が強く出ることがありますから、BPSDに対する薬物療法には注意が必要だと思います」。

 

啓発と連携がこれからの課題

これからも増え続けると見込まれる認知症への対応を考えるとき「地域のみなさんへの広い啓発と、関係者の組織立った連携が大事」だと山本先生は指摘します。

「このあたりは田舎ですから、市民の方の人間関係や情報交換は密です。ご家族ではなくご近所の方が『あの人、ちょっと様子がおかしいから』と当院に連れてこられることもあるくらいです。しかし、認知症に関する知識が行き渡っているかというと、まだまだ十分とは言えません」。

「連携の状況は地域によって進み具合に差があります。小千谷市も認知症疾患医療センター、かかりつけ医の先生方、そして福祉・介護の関係者が連携して、地域として患者さんとご家族を支える体制を早急につくっていかないといけないと思っています」。

そうした強い問題意識を持つ山本先生は、隣接する魚沼市の医師も含めて認知症のフォーラムを組織。講演会を開催して啓発に努めるほか、関係者のネットワーク化にも力を注いでいます。

 

 

取材日:2013年8月20日

山本医院の外観

山本医院

〒947-0035
新潟県小千谷市大字桜町5147-9
TEL:0258-81-7717

施設のホームページへ

この記事のURLをメールで送信 トップページを見る