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経験豊かな専門医とスタッフによる手厚いケアで
地域の認知症診療を支え続ける
<大阪府泉南市 医療法人白卯会 白井病院>

医師 田中敬剛先生 医師 田中敬剛先生

「WAO(輪を)!SENNAN」を掲げて認知症ケア推進事業に取り組む泉南市。白井病院は同市にあって、専門性の高い認知症診療に数多くの実績を重ねるとともに、啓発活動にも積極的に取り組んでいます。

1980年代の半ばから認知症診療に力を注ぐ

敷地内の緑豊かな遊歩道 敷地内の緑豊かな遊歩道

関西国際空港を臨む緑豊かな高台に白井病院が開業したのは1965年のこと。以来、約半世紀にわたり泉南市の地域医療を支え続けてきました。病床数は399。内科、精神科、整形外科など複数の科を標榜する病院として、1980年代の半ばからは特に認知症をはじめとする老人精神科医療に力を注いでいます。

認知症の専門医である田中敬剛先生が同院に赴任したのも丁度そのころのこと。

「私は日本老年精神医学会が立ち上がったころからのメンバーですし、当院で今診ている患者さんのお母さんの認知症を診療していたこともあります。正直、私はよく憶えていないのですが、当時の思い出話を伺って、私も長いことやっているのだなあと改めて感じました」(田中先生)。

苦笑しながらそう語る田中先生は、1993年に既設病棟を改修し、回廊式の病棟を早々と造った20数年前と比べ、認知症の診療が一般に認められてきたことを実感しています。

「当時は精神科で診療を受けることの敷居が高く、そのころは痴呆と呼んでいましたが、両親に痴呆があっても自宅で看ている方が大半でした。今では精神科での診療が広く浸透してきたと思いますね」(田中先生)。

 

スタッフの多くが認知症対応に豊富な経験

白井病院は2000年、2病棟(108床)を、またデイルーム、食堂、浴室、トイレ、機能回復訓練室などを備える認知症治療病棟を新設。入院患者の受け入れ態勢を拡充しました。その患者さんの多くはBPSD(周辺症状)が見られる方、認知症以外の身体疾患がある方です。

「内科、神経内科、精神科、整形外科は常勤医師が担当し、さらに眼科、皮膚科、泌尿器科も非常勤の医師が担当しています。つまり外科手術以外なら総合的に診療できるのが当院の強みです。認知症の患者さんの中には、自分でカテーテルを抜いてしまう方などもおられますが、当院のスタッフはみな対応に慣れていますので、そうした患者さんも積極的に受け入れています」(田中先生)。

認知症病棟 看護師 山本良子さん 認知症治療病棟 看護師 山本良子さん

同病棟の看護師、山本良子さんは認知症患者の看護に携わって十数年。常に患者さんの一挙一動に気を配る毎日の中で「患者さんの安全確保のためにも、親御さんが認知症であるという事実を、ご家族はしっかりと受け止めていただく必要がある」と訴えます。

「同室の他の患者さんと比べると“うちのお父ちゃんは、それほど悪くない”と思われるのでしょう。患者さんに頼まれて持ってきたモノを病室に置いたままにしていることがあります。それが思わぬ事故につながりかねませんので、注意をしていただいております」(山本さん)。

例えば「目薬」を持ってきて置いていたところ、その患者さんがほかの患者さんの眼にさしていたということもあるので気が抜けません。一方で山本さんは「認知症だからといって分からないことばかりではなく、看護師の中で私を選んで話しかけてこられることがよくあります。そんなときは、やはりうれしいですね」と日々のコミュニケーションの中にやりがいを見いだしています。

 

食事もリハビリも大切なのはコミュニケーション

管理栄養士 生賀志津子さん 管理栄養士 生賀志津子さん

病院食の栄養、献立を管理する管理栄養士の生賀志津子さんは「認知症病棟の患者さんは異食や誤嚥の問題がある方も多く、食事は一般病棟とは異なった面で配慮させていただいております」と、食感を残しつつ、特に誤嚥しないような形態作りに注意を払っています。

「バランやアルミケースは異食の面から使いませんし、サトイモやプチトマトなど球形の食材もそのままの形での提供はしておりません。いろんなメニューをお出しし盛り付けもきれいにしたいのですが、まずは安全であることが第一。もちろん食事の時間を楽しんでいただきたいので、季節感を大切にして食材を選んだり、細かくペースト状にした食材をもとの形に成形して目で見て楽しんでいただけるよう工夫をしています。噛むことや口から食べることが認知機能の向上にもつながりますから」(生賀さん)と、安全に留意しつつ、楽しんで食事ができるよう気を配ります。食事の時間には、担当の管理栄養士や調理師が病棟に出向き、患者さんが食事をしている状態を確認。記録に残すととともにスタッフで情報を共有し改善に生かしています。

理学療法士 谷洋行さん 理学療法士 谷洋行さん

入院患者さんとデイケア利用者さんのリハビリテーションを担当している理学療法士の谷洋行さんも、「身体を動かす前に、できるだけコミュニケーションをとることが大事」だと指摘し、これを実践しています。

「認知症の患者さんの場合、もの忘れで何か失敗する、自信をなくす、身体を動かさなくなる、身体機能が衰える、という“負のサイクル”に陥っていることが少なくありません。そこからの突破口を開くために、できるだけお話をして、その方ができることを探すようにしています」(谷さん)。

 

ご家族に「いつでも白井病院を頼れる」という安心感を

「自宅に帰りたいのに帰れない」という理由の一つに、退院すると再入院が難しいのでは、との不安が患者さん側にあるようですが、それには及びません。田中先生は「いつここへ帰ってきてもかまいません」、看護師の山本さんは「外泊1ヵ月のつもりで退院していただければ」とにこやかに語ります。それは、「自宅でまた何かあったらどうしよう」というご家族の心の負担を考えてのこと。もちろん、できるだけ長く自宅で過ごしていただけるよう、退院後のフォローにも細心の注意を払います。

医療福祉相談課 精神保健福祉士 三好由香さん 医療福祉相談課
精神保健福祉士 三好由香さん

薬剤師 土山扶佐子先生 薬剤師 土山扶佐子先生

入退院の調整にあたるのは医療福祉相談課に所属する精神保健福祉士の三好由香さん。「入院中の状態をできるだけ正確にご家族や関係者の方に伝えるよう留意しています」と言い、「特に施設で生活される場合には、食事やお薬などのサポートが途切れないよう配慮しています」(三好さん)。

薬剤師の土山扶佐子先生も「入院中は病棟で服薬を管理しているので問題ありませんが、日常生活の中での管理には細心の注意を払っています」と語ります。

「患者さんご自身に薬をお渡しすることもあります。しかし、3週間分のお薬を渡したはずなのに1週間後になくなったといって来院するなどのトラブルも多く、できるだけご家族やヘルパーさんが分かるように、薬局でいつ飲むのか明記して分包にしてお渡しするようにしています」(土山先生)と、患者さんのためにひと手間かけた対応を続けています。

 

地域連携を充実させながら、高齢者のユートピアを

これからの認知症診療を展望するとき、田中先生は「地域連携が重要」だと明言します。

「私は認知症サポート医として地域の先生方にレクチャーする機会がありますが、残念ながら認知症を敬遠してしまう医師も1割程度います。でもそれは、私たち専門医がしっかりしていないせいかもしれません。先生方に『白井病院がいつでも診る』ことを理解してもらい、連携を深めたいと考えています」(田中先生)。

また、田中先生は「WAO(輪を)!SENNAN」のリーダーも務めています。これは2010年度から泉南市で進められている認知症ケア推進事業の名称で、「W=忘れてもだいじょうぶ、A=あんしんと、O=思いやりのまち」の頭文字からつけられています。

「行政、医師、民生委員、家族の会の代表らが定期的に集まって施策を検討し、徘徊SOSネットワークなどを立ち上げました。また“サポーター”はすでに泉南市の人口の半分を超えているはずです」(田中先生)。

“サポーター”とは認知症について正しく理解し、患者さんやご家族を温かく見守る「応援者」のことで、市内の各地で養成講座が開かれています。

院内の診療のみならず院外でも認知症の啓蒙に注力する田中先生の目標は「この世から癌よりも先に認知症をなくすこと」。

「将来、私が高齢になって入院するとき、ここがお年寄りのためのユートピアであって欲しい。そのために今できることをやっていきます」(田中先生)。

 

 

取材日:2013年5月29日

白井病院の外観

医療法人白卯会 白井病院

〒590-0503
大阪府泉南市新家2776
TEL:072-482-2011

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