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地域の認知症診療の中心にあって、精神科病院としての専門性を発揮
<徳島県美馬市 医療法人社団 桜樹会 桜木病院>

院長 櫻木章司先生 院長 櫻木章司先生

まだ有効な治療薬がなかった頃から専門病棟を設け、認知症の診療に力を注いできた桜木病院。精神科病院としての高い専門性と女性を中心とするスタッフの緻密なチームワークで、患者さんとご家族を温かく支え続けています。

精神科病院としての専門性を認知症診療に生かす

「認知症の患者さんのご家族がいちばん苦労されるのは、やはりBPSD(行動・心理症状)。その治療には精神科医があたるべきだと考えています」。

そう語る桜木病院院長の櫻木章司先生の言葉には、患者さんとご家族に専門医として向かう強い意志がみなぎっています。

桜木病院は、櫻木先生の先代が1967年に設立。櫻木先生は1992年から20年以上、同院で診療にあたっています。

「もともとこの地域には病院が少ないこともあって、内科の患者さんも診ていたのですが、高齢化が急速に進む中で認知症診療のニーズが強まってきました。その要請に応えるかたちで、約15年前、認知症の専門病棟を立ち上げたのです。精神疾患の患者さんの対応を通して培った私どものノウハウは、BPSDが出ている患者さんにも生かせる。そうした面に、精神科病院が認知症の診療にあたる意義があると考えています」(櫻木先生)。

その後、退院した患者さんとご家族をサポートするために、重度認知症デイケアを開始。外来、入院、デイケア、訪問診療までの対応体制を整えてきました。

診察にあたってまず櫻木先生は、患者さんとご家族に、症状と治療について懇切丁寧に説明することを大事にしています。

「まだまだ世間一般での認知症に対する理解度は低いですし、告知されたときのご本人やご家族のショックは大きい。そこをどううまく説明するかが、私たち医師の大きな役割だと思います」(櫻木先生)。

 

説明する言葉の1つ1つを大切に

外来患者の診察にあたっては問診を重視し、日常生活上の変化などをつぶさに確認します。そして、長谷川式、MMSE(認知機能調査)、血液検査、CT、さらに必要に応じて提携先の医療機関でMRIによる検査を行います。

「当院の場合、比較的症状が進んでから来られる方が多いのです。“年だから多少のもの忘れはしょうがない”とそのままにしているうちに行動障害が表れて受診されるといったケースが目立ちますね。心配して来院され“認知症だ”と告げられれば、そこからなかなか前向きになれません。だから説明には非常に気を使います」。

「例えば、実は私はCTの画像診断には大きな比重を置いていません。でも画像があると説明しやすいし、患者さんやご家族も理解しやすいので活用しています」。

説明では、まず中核症状としての記憶障害があること、そしてさまざまな周辺症状が見られる可能性があることを示します。

「認知症というと“もの忘れがどんどんひどくなる”というイメージで捉えている方が多いのですが、実際には周りの環境や接し方で症状の進行は変わります。“だからこそ心のケアが必要”だと理解してもらいます」。

「治療についても“脳のトレーニング、リハビリテーションをしましょう”と言うと受け入れていただきやすいですね」と、櫻木先生は豊富な経験に基づいて、説明する言葉の1つ1つを吟味しています。

女性スタッフゆえのやわらかな対応

作業療法士 川上和宏さん 作業療法士 川上和宏さん

准看護士 荒井知恵さん 准看護士 荒井知恵さん

看護師 上岡住江さん 看護師 上岡住江さん

川上和宏さんは、桜木病院で重度認知症デイケアを担当する作業療法士。リハビリテーションはもとより、送迎や食事介助など常に患者さんの生活に密着しています。

「ひと言で認知症と言っても、その症状や能力はご利用者によってさまざまですから、1人ひとりの能力を評価し、把握することが必要です。また、ご家族とのコミュニケーションも大事。直接お話しできないときは、家での様子などを『連絡ノート』に書いていただき、私たちからもデイケアでの印象などをお伝えしています」(川上さん)。

実は桜木病院のスタッフの中で、川上さんら男性はごくわずか。その多くは女性です。

「意図したわけではないのですが、女性ならではのやわらかい対応に患者さんは安心できるようです。また、ご家庭で介護の中心になっているのは娘さんやお嫁さんなど女性が多いので、女性スタッフの方が相談しやすい面もあるでしょうね」(櫻木先生)。

病棟を担当する准看護士の荒井知恵さんは「患者さんとご家族の目線を大事にすること」をモットーにしています。「特に入院されたばかりのときは、ご家族も患者さんの様子を心配しておられます。『落ち着いておられますよ』と言うと、安心したお顔を見せられますし、それが私の励みにもなっています」(荒井さん)。

また看護師の上岡住江さんは「入院される患者さんは、ご家庭や施設での対応が困難な状態の方が多いです。ご家族の方も戸惑い面会するのが辛いと言う方もおいでになります。その状態を受け入れることができるように説明することも私たちの仕事です」と、それぞれが細やかな気配りをもってご家族に接しています。

クリニカルパス導入で院内連携を強化

看護師長 佐藤公代さん 看護師長 佐藤公代さん

女性を中心とする計160人のスタッフの緻密なチームワークが桜木病院の特徴。リーダーが音頭をとらなくても、自然に多職種が連携しています。

そしてこの10月からは、クリニカルパスを導入し、より効率的で、かつ細やかな連携を図っています。クリニカルパスの内容をひと言でいうなら「治療、検査、看護などの内容およびそのスケジュールを一覧したもの」。複数のスタッフがこれを共有することで、チーム医療の質的向上が期待できることから、導入する病院が増えています。

看護師長の佐藤公代さんは「それぞれの職種ごとにやるべき内容が一覧できるので、非常にわかりやすいですね。できた項目をチェックする仕組みなので進捗も明らかです。ただ、まだ導入したばかりなので、これからどんどん改善を重ねていきます」と、パスの導入に手ごたえを感じています。

桜木病院が導入したクリニカルパス<br/>(日本精神科病院作成) 桜木病院が導入したクリニカルパス(日本精神科病院作成)
(↑クリック:PDFファイル)

櫻木先生は「患者さんやご家族に対しても、パスの導入の意義は大きい」と指摘します。「パスにサインすることで参加意識が生まれ、検査、治療に取り組んでいくモチベーションの向上につながっていると思います。1、2週間おきに新しいパスを元にご説明しますが、積極的に参加されるご家族が多いですね」(櫻木先生)。

地域連携の中で、自分たちが信じる診療を

精神保健福祉士 鎌田恵実さん 精神保健福祉士 鎌田恵実さん

専門性の高い診療と多職種のチームワークで、地域の患者さんとご家族にとって頼れる存在である桜木病院。それでも「まだ課題はいくつもある」と櫻木先生は表情を引き締め、早期発見・早期治療、訪問診療などをテーマに挙げます。

「例えば徳島市では、もの忘れ検診を行っていますが、こちらでは具体化していません。訪問診療については、当院でも行ってはいるのですが、人員等の問題があり十分とは言い難い。在宅は時代の流れですし退院後のケアも私どもの大事な仕事ですから、今後拡充したいと思っています」(櫻木先生)。

また、地域連携の推進も今後の課題の1つ。同院で連携のコーディネーター的な役割を果たしている精神保健福祉士の鎌田恵実さんは「相談員として、最初に患者さんやご家族からご相談を受ける立場ですので、必要があれば当院のことだけではなく、地域の介護サービスなどのご紹介もします。また、当院の患者さんが退院される場合、在宅なら地域のケアマネジャーさん、施設入所の場合はそのスタッフの方たちとケア会議を行い連携を図っています」と、常に地域でのつながりを意識しています。

「ケア会議には私も含め、多いときには10人参加します。時間の調整は大変ですが“集まって話す”ことが大切です」と櫻木先生は指摘します。

「地域連携の中で私たちが果たすべきは、やはり専門的な医療機関としての役割。“精神科病院に入院する”ということに良くない印象を持つ方もいますが、それでも自分たちのやることに自信と誇りをもって診療にあたります」(櫻木先生)。

 

取材日:2012年10月19日
医療法人社団 桜樹会 桜木病院の外観

医療法人社団 桜樹会 桜木病院

〒779-3600
徳島県美馬市脇町木ノ内3763
TEL:0883-52-2583

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