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東京の下町で“認知症になっても今までと同じように生活できる街づくり”を
<東京都板橋区 医療法人社団つくしんぼ会 >

医療法人社団つくしんぼ会 理事長・医師 鈩裕和先生 医療法人社団つくしんぼ会
理事長・医師 鈩裕和先生

東京の昔ながらの下町にあって、患者さんのQOL向上を目指し各種の医療・介護サービスを提供する医療法人社団つくしんぼ会。事務職を含めたスタッフの職種を超えた連携、そして患者さんとご家族の視点に立った手厚いケアで、地域の認知症医療を支え続けています。

高齢化が進む町で、地域密着型の医療・介護サービスを提供

つくしんぼ会の各事業所がある板橋区大山西町は、東京・池袋の至近にありながら都心の喧噪は聞こえないおだやかな町。昭和の風情を感じさせる、ちょっとレトロな表情の住居や商店も少なくありません。

「ひとことで言うとここは下町ですね。地域としての結びつきが強く、人と人の関係も優しいですよ」と語る、つくしんぼ会理事長でつくしんぼ診療所理事長で医師の鈩(たたら)裕和先生は、一方で「高齢化が進む町」であるとも指摘します。「同じ板橋区内では高島平の高齢化が顕著ですが、この町がその後を追いかけていて、いま25%の少し手前くらいです」。

つくしんぼ会の設立は1997年。同会は、単に疾病の治療を行うだけではなく患者さんの生活の質(QOL)を高めることを旨とし、診療所のほか訪問介護ステーション、居宅介護支援事業所などを運営。地域に根ざしたさまざまな医療・介護サービスを提供しています。

つくしんぼ会の皆さん
つくしんぼ会の皆さん

「そもそも医療はサービス業です。しかし既存の病院は、患者さんのニーズに応じたサービスを十分に提供しているとは言い難い。認知症の患者さんで言うと、大きな病院のものわすれ外来に行ってはみたけれどすごく混んでいて、次の外来診療まで半年待たないといけない。それじゃあというので、うちに来られるケースが割と多いのです」(鈩先生)。

 

ご家族が安心して生活できれば、患者さんの症状は悪化しない

認知症の診療で鈩先生が常に留意しているのは、患者さんはもとよりご家族に安心感を与えること。

「軽度は本人の病気だが中等度以上は家族の病気。家族が安心して生活できれば、患者さんは周辺症状が出にくい」というのが持論です。

「ご家族の中には、ケアに関する情報がなくてどうしていいかわからず、悶々とした状況の中に置かれている方がたくさいます。それを解決するのがまず重要」だと鈩先生は指摘します。

つくしんぼ介護保険相談室 所長・ケアマネジャー 長原健さん
つくしんぼ介護保険相談室
所長・ケアマネジャー 長原健さん

訪問看護ステーションつくしんぼ城北公園 所長・看護師 瀬田美和子さん
訪問看護ステーションつくしんぼ城北公園
所長・看護師 瀬田美和子さん

ご家族からの問い合わせの中には「何だかよく知らないけれど、介護保険というのを使ってみたい」「雑誌で訪問介護の記事を見たのだが」など、漠然とした質問も少なくありません。

つくしんぼ介護保険相談室所長でケアマネジャーの長原健さんは「まず介護保険の仕組みを説明して、ご家族だけで看なくても大丈夫だと理解してもらうことが大切」だと言います。また、訪問看護ステーションつくしんぼ城北公園の所長で看護師の瀬田美和子さんは「認知症の看護・介護には、体のケアもあれば、心のケアもある。まずご本人の生活をよく見て、何が必要か見極めることが重要です」と、いずれも利用者の視点に立った対応に留意しています。

鈩先生は「患者さんご本人が亡くなったあとも、ご家族が病気になったら必ずと言っていいほど、うちの外来に来られます。それだけの信頼を得ているのは、スタッフ全員の努力があってのことでしょう」と手ごたえを感じながらも、「各事業所の所在地がバラバラで、日常の接点が少ないのはマイナス要因」だと運営上の課題も認めています。

 

スタッフ一人ひとりが、全事業所の仕事を理解する

「診療所、訪問看護ステーション、訪問介護事業所、居宅介護支援事業所すべて抱えてトータルでケアするというスタイルをとっているのは、設立当時、全国にもほとんどありませんでした」と鈩先生は振り返ります。

設立メンバーの多くはそれまで高齢者の医療に携わっており、病気の治療が終わってもそのあとの生活が成り立たない患者さんが多いことを痛感していました。

訪問看護ステーションつくしんぼ 所長・看護師 工藤京子さん
訪問看護ステーションつくしんぼ
所長・看護師 工藤京子さん

ニコニコ介護つくしんぼ 介護福祉士 菅原三津子さん
ニコニコ介護つくしんぼ
介護福祉士 菅原三津子さん

「生活を支えるには、医療従事者だけではなく、福祉・介護も含めさまざまな職種のスタッフがその垣根を取り払ってケアにあたらなければなりません。それは設立当初からの私たちの目標であり、事業の基本的な姿勢なのです」(鈩先生)。

そこで鈩先生らは各事業所が点在するというハンデを克服し多職種の連携を強化するため、さまざまな施策を発案、導入しています。その1つに入職時のオリエンテーションがあり、どの職種のスタッフであれ、すべての事業所を回って、その仕事内容を把握することがその目的です。

設立時からの看護師の1人で、訪問看護ステーションつくしんぼの所長を務める工藤京子さんは「それぞれの職種が患者さんにどのような関わり方をしているか。それを理解することが私たちの出発点。特に在宅看護はチームでなければできませんから」とオリエンテーションの意義を語ります。

また、ニコニコ介護つくしんぼの所長である菅原三津子さんは「先生やケアマネさんがずっと同行して説明くださったので、新人の私にとって非常に有益でしたね。一般の事業所ではあまりないのでは」と、その価値を実感しています。

 

事務職の意見も、カンファレンスに、ケアに活かす

毎週木曜日に行われるカンファレンスも、多職種連携を深めるための重要な機会になっています。ここで特徴的なのは、カンファレンスに医師と看護師だけではなく、介護職や事務職も参加すること。これは他の病院にはあまり例がありません。

「医療従事者はどうしても医療という専門的な視点からの意見になってしまいます。事務職といういわば“普通の人”の視点や意見も参考にすべきだし、実際にしていますよ」と、鈩先生はこのカンファレンスの意義を説きます。

例えば事務職から出された意見の1つに、患者さんへの“言葉”があります。「私たち医療従事者は“共通の言葉”で話そうとしてもついつい専門用語で話してしまいがち。事務職のスタッフから“その説明ではわかりにくい”“患者さんが誤解するのでは?”と指摘されて気づくことも多い」と看護師の瀬田さんは、事務職からの意見を仕事の振り返りに活かしています。

また、入職時に全事業所を回るオリエンテーションも事務職に共通で、つくしんぼにおける“職種の垣根のなさ”は徹底しています。「事務職が実際に現場を知っているので、電話でのお問い合わせに具体的にお答えできる」(瀬田さん)など、ここにもプラスの効果が表れています。

 

下町ならではの人づきあいを活かし、地域ぐるみのケアを

つくしんぼ会は“共通の言葉”を地域にも広げることを目的の1つとして、公開講座を開講しています。「つくしんぼの組織が大きくなり、また介護保険の活用が広がって、周囲の介護の事業所などと共同する機会が多くなりました。そこで互いに共通の言葉でスムーズに理解し合えるよう、一緒に勉強することにしたのです」(鈩先生)。

訪問看護ステーションつくしんぼ城北公園 看護師 髙橋映也子さん
訪問看護ステーションつくしんぼ城北公園
看護師 髙橋映也子さん

講座のテーマによっては、一般の方が多く参加するケースもあり、約300人集まったこともあると言います。訪問看護ステーションつくしんぼ城北公園の看護師、髙橋映也子さんは「情報がなくて悩んでおられる患者さんのご家族も多いと思いますので、ぜひ利用してほしいですね」と多くの人の参加を促します。また、ケアマネジャーの長原さんは「この地域では私たちが認知症を一番理解していると思いますが、当然うちだけでは迫る高齢化に対応できません。地域ぐるみのケアが必要です」と訴えます。

鈩先生は「幸いこの地域には下町ならではの人づきあいがあります。例えばお店で高齢の方が代金の支払いに戸惑っていたら、店員さんが一万円札を出されても、いやがらずに支払いのお手伝いをする、そんなやさしさがある。ぜひ、そのようにお札を出されてもいやな顔をせず、“認知症の方も安心して買い物ができる商店街”をつくりたいですね」と展望を語ります。

「そして私たちは啓発から看取りまで、ここでできることをすべてやっていきたい。つくしんぼの名には“地域に尽くす”という思いを込めています。それが私たちの原点であり、目標でもあるのです」(鈩先生)。

 

 

取材日:2012年6月26日
つくしんぼ大山診療所の外観

医療法人社団つくしんぼ会

〒173-0023 
東京都板橋区大山西町70-10
TEL:03-3972-1165

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