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カンファレンスと多職種連携で地域の認知症診療を牽引
<愛知県長久手市 長久手南クリニック>

院長 岩田明先生 院長 岩田明先生

その名前の通り愛知県長久手市の南部に位置し、純木造の山小屋風の外観が印象的な長久手南クリニックは、認知症外来・往診を掲げる街の専門医院。開業から4年間で約2500人の認知症初診者を診る一方、ケアマネジャーらを対象とするカンファレンスや積極的な多職種連携で、地域の認知症診療のレベルアップにも力を注いでいます。

「コウノメソッド」をベースに研鑚を重ねる

山小屋風の造りが印象的なクリニックの待合室 山小屋風の造りが印象的なクリニックの
待合室

脳神経外科を専門とする岩田明先生が長久手南クリニックを開業したのは2007年11月のこと。それまで岩田先生は脳外科医として約10年、アメリカの研究留学に約6年、往診医として約2年のキャリアを重ねていました。

「アメリカ留学中は手術をしなかったので脳外科医として帰国するのは難しく、往診医の道を選んだのですが、患者さんの多くが寝たきりで認知症を患っておられました。それが、本気で認知症を勉強しようと考えたきっかけです」という岩田先生は続けて「河野和彦先生との出会いにも運命的なものを感じました」と、開業直前の頃を振り返ります。

河野先生は岩田先生と同じく愛知県で医療、啓発活動に取り組んできた認知症の専門医。独自の診療方法を体系化した「コウノメソッド」で知られています。

講演会を通じて面識を得た岩田先生は、「コウノメソッド」をベースに自身の知識、経験を加えながら、開業以来約2500人の患者さんを診てきました。その約半分はレビー小体型で、一般的な割合(2割程度)を上回っています。

 

認知症の95%は問診と簡易検査で判断できる

岩田先生自身がCT撮影も行います 岩田先生自身がCT撮影も行います

「レビーは診断も治療も難しいとされますが、レビーも含め認知症の患者さんの95%は問診と簡易検査で判断できます」と、岩田先生は初診におけるこの2つの重要性を指摘します。

まず、患者さんとご家族による問診票の記入、看護師による長谷川式検査・時計描写テスト、先生の診察とCTによる画像診断というのが初診での基本的な流れです。

特徴的な症状――例えばレビー小体型の場合、幻視・幻聴、夜中に叫ぶ、怖い夢を見るなどが1回でもあればレビーを疑います。「でも1回だけだとご家族は言わないケースが多いので注意が必要です。また、身体のこわばりや小股歩きなどの歩行障害も特徴に上げられます」という岩田先生は、「ほとんどの場合、CTまでに判断がつく」と明言します。

「時計の描写で頭頂葉の機能を、長谷川式で側頭葉・海馬、つまり記憶力を診ます。その結果をふまえてCTを見て、検査で記憶力が落ちているのに側頭葉や海馬に収縮が見られないならレビーということになります。問診票と検査で“たぶんレビーだな”と思い、身体を触ってみてこわばりがあると“絶対そうだ”と思い、CTで収縮がないと“確信する”ということです。投薬の量も、アルツハイマーとレビーとでは微妙に違う。だからこそ初診が大事なんです」。

 

介護者と連携しながら往診にも注力

同クリニックでは往診にも力を注いでおり、月曜~土曜の午後の大半を往診に充て、緊急を要する場合は24時間対応しています。これまで岩田先生が診療にあたった中で、最も印象深い患者さんも往診での出会いでした。

「当時88歳で、入院先で余命2週間を告げられご自宅で最期を迎えようとしていた方でした。まったく食事ができなかったのですが、何とか食べさせてあげたいと思い、『Newフェルガード』という健康補助食品の粒を摂ることをおすすめしました」。

これが功を奏して、経管栄養が8割だったところ1カ月後には口からの食事を8割にまで回復。それから4年経過した今では、寝たきりだったのが手引きで歩けるようになり、白内障の手術も受けてテレビ、新聞が見られるようになって、大ファンである中日ドラゴンズの話をしているといいます。

「ご家族はもちろん、私自身も驚いていますよ(笑)。今でも往診していますが、かつてはあばらが浮いていたのに、すっかりふくよかになられました」と岩田先生は相好を崩しながら、一方で「往診は基本的に2週間に1度、その間にもし何かあればすぐに私に連絡をくれるようご家族やケアマネジャーさんに呼びかけている」と、介護者との連携の重要性を訴えます。

 

50人のケアマネジャーの教育で2500人の患者が救える

「この地域の患者さんは比較的恵まれています。ケアマネさんのレベルが高いですから」と岩田先生は評価しますが、ケアマネジャーへの認知症教育を主導してきたのはほかならぬ岩田先生自身です。

その発端は、岩田先生が河野和彦先生に講師を依頼して開催した計12回の勉強会。ここには約80人のケアマネジャーやホームヘルパーが参加しました。この勉強会を発展的に続けるかたちで2007年12月からはケアマネジャー、看護師、ヘルパー、理学療法士、医師などを対象とする「長久手南クリニック認知症カンファレンス」を開催。11年末までに延べ27回を数えています。

「ケアマネさんは横のつながりが強いので、前回の参加者からのクチコミで参加者が増えるという流れになっています」。

このカンファレンスはまた多職種連携の拡充の機会にもなっています。「今ではおよそ100の介護事業所などと連絡を取り合っています。ケアマネさんから私のところに“あのお宅の方はレビーではないか?”という連絡が入るのが、普通のことになりました」と、岩田先生はカンファレンスと連携の確かな手ごたえを感じており、「1人で50人の高齢者を見ているケアマネさん50人に教えれば、2500人の患者さんを救うことができる」と、その意義を強調します。

 

往診医による認知症診療を広げるために

クリニック主催のカンファレンスのほか、岩田先生は長久手市周辺の市町村等が行う講演会でも、たびたび講師を務めています。そのきっかけの多くは、先生が書いた主治医意見書です。

「認知症を診られる医師が少ないせいか、名古屋市の東域、日進市、瀬戸市、尾張旭市からも患者さんが来ますので、再診も含めれば月に約100枚、年に1000枚以上、主治医意見書を書いています。それを読んだ行政の担当者などから依頼がくるんですよ」という岩田先生が講師を務める理由は「実践的な知識を広めたいから」と明解です。

外来、往診、カンファレンス、そして講演と多忙を極めながら、岩田先生は次の目標として「往診医の認知症カンファレンス」を掲げます。

「単身や老々介護、寝たきりの患者さんのことを考えれば、私のように往診で認知症が診療できる医師がもっと必要です。しかし現実には、ほとんどいません。まず往診を専門にやっているグループのメンバーに認知症について教えたいですね」という岩田先生は、制度面での整備も必要との持論を述べます。「例えば産業医に就くためには一定の研修等が求められるように、往診医が認知症を学ぶ制度が必要ではないでしょうか。ほとんどの症状は問診で分かりますから、正しく教わればどんな先生でもできますよ」。

すでに近隣の病院の往診医らでカンファレンスを組む話も進行中。「私はもちろんそこで認知症を講義しますが、それぞれの先生が得意な分野を講義するようなカンファレンスを企んでいます。そうした動きが、この街から全国に広がればいいですね」。岩田先生はそんな展望を描いています。

 

 

取材日:2012年4月12日

長久手南クリニックの外観

長久手南クリニック

〒480-1147
愛知県長久手市市ヶ洞72-3
TEL:0561-64-5667

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