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オーダーメイドの治療と病診・介護の連携づくりを推進
<茨城県つくば市 成島クリニック>

院長 成島淨先生 院長 成島淨先生

脳神経外科を中心とした診療体制の成島クリニックは、認知症の患者さん一人ひとりに応じた「オーダーメイドの治療」を提供しています。院長の成島淨先生は、かかりつけ医として治療を行う一方で、認知症治療には各分野の連携が欠かせないことから「つくば認知症ネットワーク」を立ち上げ、専門医とかかりつけ医、そして医療と介護の連携の構築に注力しています。

かかりつけ医として認知症の患者さんの受け皿に

成島クリニックの診療科は脳神経外科、内科、外科。MRIを設置し、脳卒中の後遺症や頭痛、めまいなどに対応してきました。脳神経外科医である院長の成島淨先生は、1999年のクリニック開業を機に認知症と関わるようになりました。

「患者さんにとっては、精神科も神経内科も脳外科もあまり違いはなく、はっきり区別はつきません。大きい病院は敷居が高く行きにくいですから、ご家族が認知症ではないかと疑ったとき、私のようなかかりつけ医が受け皿になります」(成島先生)。

認知症の患者さんは新患の1~2割を占めます。以前は症状が進行し、ご家族が支えきれなくなってから来院することが多かったそうですが、ここ数年は初期の人の来院が増えたと成島先生は感じています。

「社会的に啓蒙されてきて、新薬の登場などがマスコミにも取り上げられ、認知症が認知されてきたのだと思います。明らかに認知症の患者さんの受診は増えてきました」(成島先生)。

他機関から紹介されて来院した患者さんには、治療で治る認知症を見逃さないようまず画像診断を実施。紹介ではない場合は、簡単な問診を書いてもらい、ご家族がいれば患者さんの診察より前に診察室でお話を聞くこともあります。

画像診断はあくまで補助的な検査であるというのが成島先生の考えで、ドアの開け方や歩き方などの日常動作や知能検査、ご家族からの情報で診断することを大切にしています。

 

プライドを大切に接しオーダーメイドの治療を

知能検査は、検査を行う人によって解答の解釈が微妙に異なることがあるので、毎回同じ人間がやったほうが良いと考える成島先生は、必ずご自分で検査を行っています。本人に病識がない場合は、世間話をしながら一般的な会話のなかにMMSE(認知機能検査)や長谷川式の質問を盛り込み、あとから成島先生がテストの質問に落とし込んでいきます。

「患者さんは、物忘れは強くなっても、感情面は保たれています。なので、プライドを傷つけないことが大切。知能検査だと気づけば怒り出す患者さんもいますから、気づかれないように行うのです」(成島先生)。

その一方で、物忘れがあることを認識してもらうことも大切だと指摘します。「病識がない人は、薬も『必要ない』と拒否しがち。加齢のせいであれ何であれ、物忘れがあることを自覚してもらい、これ以上ひどくなって生活に支障をきたさないように薬を飲んでおきましょう、という流れでお話をすれば、多くの方に飲んでいただけます」と語ります。

これまで何も治療を行っておらず、薬物療法や介護を利用することで改善する患者さんもいれば、薬を減らすことで改善する患者さんもいます。

「認知症治療はパターン化できるほど簡単ではありません。一人ひとりに合ったオーダーメイドの治療が重要です。億劫がって何もしなくなっていたのに薬物療法で以前のこまめなおじいちゃんに戻ってくれた、と感謝してもらえたこともあります。外科のようにダイナミックな変化はありませんが、ご家族の苦労は軽減します」(成島先生)。

 

ご家族には「正しい介護」を指導

ご家族には、まず認知症は決して珍しい病気ではなく、10年後には患者数が400万人近くに増えるとされる、ありふれた病気であることを説明します。介護そのものに困っているのではなく、患者さんが社会的地位の高い立場だった場合など、認知症の症状が現れているという現実をご家族が受容できず戸惑っている場合もあるためです。

そのうえで、対応ひとつで症状が変わることを話し、「正しい介護」を指導しています。成島先生が患者さんのプライドを大切にするのと同様に、ご家族にも患者さんのプライドを大切にすることを求めるのです。

「ご家族は、患者さんに同じことを何度も尋ねられるとつい声を荒げてしまうこともあるでしょうが、ご本人はすぐ忘れ、気になって尋ねるのですから傷つくわけです。ご家族の対応次第でBPSD(周辺症状)の発生を防ぐこともできるということを説明します」(成島先生)。

軽い症状の新患が増えたものの、重症な認知症でもどこに相談すればいいかわからず、ご家族だけで背負ってきた例もあることを成島先生は案じます。

「それでは共倒れになってしまいます。介護事業者や地域包括支援センターに連絡し、ご家族には介護施設や行政の力を借りることを提案したことで、『負担が軽減し、在宅で介護ができるようになりました』と言われたこともありました」(成島先生)。

 

専門医・かかりつけ医・介護の連携構築の組織を発足

成島先生は、認知症患者の増加を受けて、医療と医療、医療と介護の連携の必要性を感じ、「つくば認知症ネットワーク」を立ち上げました。

まず市内の開業医40人ほどで「物忘れ相談医」を立ち上げ、相談医を中心に、講演会や勉強会を開催。開業医同士が意見交換などを行い「顔の見える関係」をつくると共に、メールを利用し、専門外来を持つ専門医に開業医を通じて患者さんの予約を取る仕組みをつくりました。

「つくば市は医療資源に恵まれ専門外来もあるのですが、いざ診てもらうとなると3~6カ月の予約待ちという状態でした。かかりつけ医を通すことで、1~2週間待てば診察が受けられるようになりました」(成島先生)。

かかりつけ医から専門医に紹介する一方、患者さんの症状がおちつけば専門医からかかりつけ医に紹介する場合もあり、また難しい症例は事例検討会に出して知恵を出し合うという流れができています。

この組織の目的は、「施設の介護力の底上げ」でもあります。

「患者さんが最も多くいるのは、特別養護老人ホームなどの介護施設。しかし施設の方でも認知症の理解度は様々で、対応力の差が大きいのが現状です。施設で適した対応をすることで、薬物療法と同じように、症状の進行を抑えることができます」(成島先生)。

テーマを絞って定期的に学習会を行い、介護力を上げると同時に、介護関係者が患者さんの情報を医療にフィードバックしてよりよい治療につなげる「お互いの顔が見え、意見が言いやすい関係」づくりが目的です。成島先生は「医療と介護の信頼関係も大切です」と言います。

 

患者さんやご家族の負担を軽減できるのがやりがいに

「つくば市は専門外来を始めとした病院や福祉施設が数多くあり、連携が図りやすい」と成島先生は言います。その一方で、市の北部と南部では高齢化が進み、独居の高齢者や夫婦のみで暮らす高齢者も増加してきました。今後は、モデルケースをつくって様々な連携の形を試みたいというのが成島先生の考えです。

「ボトムアップ、トップダウンと2つのやり方があるなかで、つくば認知症ネットワークはこれまでは私が中心になり、トップダウン式で活動してきました。しかしそれは、ある程度機能するまでの一時的なものです。軌道に乗った段階では、私個人が何かを行うのではなく、組織として継続していけるようきちんと構築していきたいと思います」(成島先生)。

クリニックでの診察のかたわら、地域でも精力的に活動している成島先生ですが、「苦にはならないですね。認知症の場合、ご家族がいろいろと問題を抱えていて、専門医だけでは解決できません。かかりつけ医が動かないといけないと考えていました。クリニックでの治療、それから地域での活動で、患者さんやご家族をハッピーにできるとまでは言えませんが、少しでも安心して地域で生活できるよう負担を軽減できることにやりがいを感じます」と語ります。

成島先生は、オーダーメイドの治療と、病診・介護の連携を揺るがないものにすることで、患者さんとご家族を地域でしっかり支えています。

 

 

取材日:2011年9月12日
成島クリニックの外観

成島クリニック


〒305-0067
茨城県つくば市大字館野363
TEL:029-839-2170

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