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認知症薬物療法「コウノメソッド」で介護ゼロめざして
<愛知県名古屋市 名古屋フォレストクリニック>

名古屋フォレストクリニック 医師 河野和彦先生 院長 河野和彦先生

中部国際空港やJR東海道線からのアクセスがよい名古屋市の中心地に、名古屋フォレストクリニックがあります。院長は「重症の認知症患者さんであっても、自分がなんとしてでも治す」という揺るぎない信念を持つ、河野和彦先生。30年にわたって患者さんと向き合ってきた河野先生は、薬物療法に主軸を置いた「コウノメソッド」という治療体系を確立、その見識と手法は反響を呼び、徐々に全国に広まっています。

30年の診療実績をひっさげての開業

「森林浴のように患者さんを癒したい」という思いで命名された名古屋フォレストクリニック。診療科目は老年精神科、神経内科、漢方内科の3つで、全国でも珍しい認知症専門の診療所です。開院2年とはいえ、いくつもの病院で認知症専門外来を開設してきた実績を持つ河野和彦先生は、医師になってからの約30年のほぼ全てを、認知症患者さんと向き合ってきました。的確な診断とよりよい治療法を探求し続けてきた、誰もが認める「認知症のスペシャリスト」。満を持しての開業とあり、開業前から約1,000人もの予約があったほどです。「年々認知症の患者さんは増えている。総合病院などでは、やれることに限りがある。昨今の、重度の患者さんが置き去りにされる現実を変えたかった」と開院のきっかけを語る河野先生。

同クリニックへの関心の高さは、北は北海道から南は沖縄まで、県外来院者および海外からの来院者が年間300人を優に超えることでも想像にかたくありません。紹介状は必要なく、服用している薬の種類と量、副作用が出た薬を伝えればいいというのも、特徴のひとつ。

「重症の患者さんにおいてもあきらめずに起死回生の治療をめざしています。全ての患者さんが良くなるよう修行の毎日です」(河野先生)。

介護に疲れたご家族のためにも、同クリニックのトイレは車いすがゆったり入れるぐらいの広さと洒落た内装となっており、コーヒーなどのスタンドバーも併設。寒々しい医療施設ではなく、居心地のよい空間づくりで患者さんとご家族を癒しているのです。

 

「15分以内に患者さんと友だちになる」

CT撮影室の天井には青空のイメージが広がる CT撮影室の天井には青空のイメージが広がる

同クリニックでは、問診およびマルチスライスCTによる画像診断で脳の状態を確認したうえで診察し、患者さんやご家族とともに治療方針を決めていきます。

じっくりと患者さんと向き合う診察が、悪名高い「5分診療」の対極にあるような風潮がありますが、河野先生の場合は、さすがに5分ではないものの、問診やCTの後は「新規の患者さんでも約15分しか診察していません」と言います。一刻も早く、多くの患者さんを診てあげたい、待ち時間を減らしてあげたいという思いからですが、手早く人数をこなす効率主義とは一線を画します。

「短時間のうちに、警戒心のある初対面の患者さんから『あんたはおもしろい医者だな。また来るよ』と言わせなければならないし、そう励んでいます。15分以内で患者さんと友だちになるということですね(笑)」(河野先生)。

患者さんの目線で話を聞く河野先生 患者さんの目線で話を聞く河野先生

約15分で心を開いてもらう術は、30年の実績から培ったもの。明朗な語り口と自信に満ちた笑顔で患者さんを迎えるのもそのひとつですが、具体的には患者さんの自信のある分野での昔話をしてもらうことが多いのだとか。

「例えば大正生まれの男性なら外地へ出兵しているので、戦争の話をするのもよし。また、出身地も聞くようにしています。高知なら桂浜で日本酒、香川ならうどんといった話をします」(河野先生)。

平均約15分とはいえ、何より重視しているのは、患者さん、ご家族と、医師、スタッフとの信頼関係。常に真摯な態度で向き合うよう、心がけています。

 

「コウノメソッド」の確立

認知症の治療においては薬が処方されますが、「薬の種類よりも、問題は用量」と指摘する河野先生。「患者さん各自に合った薬、用量、加減のタイミングがぴったり合えば80%近く改善する」というのが、河野先生の薬剤に対する持論であり、実際に何千人もの患者さんを快方に向かわせた自信から来る言葉でもあります。

ところが、現実には「誤った処方が行われていることも多く、そのために要介護ランクが下がらない患者さんも多い」、と憂慮。例えばレビー型小体認知症(DLB)をきちんと診断できず、医師が間違った処方をし、薬の副作用でさらに症状を悪化させる例なども数多くみてきました。

そんな現状に心を痛めてきた河野先生は、認知症全般における最適な治療のため、薬物療法をマニュアル化する「コウノメソッド」という治療体系を考案。患者さんの病状をきちんと把握し、周辺症状なども判断し、全てのバランスを考慮したうえで副作用の少ない薬剤の種類と用量を細かく決めるマニュアルです。もっとも大切にしているのが薬剤のさじ加減や投薬の順番であるため、マニュアルとはいえ、実に緻密かつ入念に治療方法が提示されているのです。

河野先生はこの取り組みを書籍や自らの認知症ブログ、講演会などを通して地道に啓蒙していった結果、今では全国に75人ものコウノメソッド実践医が誕生。遠隔地であっても的確にフォローできるよう連携を強めており、河野先生のブログには、各地から「患者さんがよくなってきた」などの嬉しい報告が寄せられています。

「学会発表されていないから、権威がないからと有効な治療法を選ばない医師がいるのが、悲しい現実です。もっとも大切なのは、認知症がよくなること。患者さんとご家族の幸せが優先されるべき」(河野先生)。

作用や副反応のデータを緻密にとりながら、「コウノメソッド」は年に1回改訂されています。

 

介護現場の達人が強力サポート

ミヤビサポートありがとう居宅介護支援事業所 ケアマネジャー 小板美代子さん ケアマネジャー 小板美代子さん

河野先生はかねてから、「ケアマネジャーをはじめとした福祉関係者には、患者さんから教わろうという“現場力”がある。講義を聞くだけでは治せないのが認知症。ケアマネジャーさんの力を借りれば、もっと早く日本の認知症治療を正常化させられると思う」と現場の福祉関係者を高く評価しています。同クリニックのほど近く、「ミヤビサポートありがとう居宅介護支援事業所」のケアマネジャー、小板美代子さんも、河野先生が信頼を寄せているひとり。他の医療施設から移ってきた患者さんを「前医の誤診ではないか」と見抜くほどの実力の持ち主です。「長年患者さんに接している勘と経験で、いろいろなことがわかるようになってきました」(小板さん)。まさに河野先生の言うところの、“現場力”の積み重ねと言えるでしょうか。同クリニックの患者さんの介護に携わっていくうちに、「だんだんよくなっていくのを目の当たりにできる喜びがある。だから介護者の方も楽になっていく」ことを実感していると言います。

河野先生はこうした介護スタッフに一目置いており、「誤った処方をしている医療関係者から患者を救い出したい」との思いから、ケアマネジャーや福祉関係者対象の講演会も積極的に行っています。

 

「介護ゼロ運動」を掲げて

ともすれば自信過剰にも聞こえる「自分が治せない患者は他では治らない」という河野先生の言葉は、信念というより「その覚悟で常に向き合いたい」(河野先生)という決意の表れだと言います。長年の経験に裏打ちされた、重みのある“覚悟と願い”でしょう。

コウノメソッドの実践で、患者さんの75%が認知症を改善したというデータもありますが、河野先生は満足していないと言います。

「老化現象は止められなくても、認知症は高齢になると必ずしもかかるものではない。認知症は病気のひとつなのだから、完治しないわけではないと信じています」と言う河野先生の夢は、介護ゼロの社会。「車いすの患者を全員歩かせてみせる。介護ゼロ運動を高らかに目標として掲げていきたい」(河野先生)。

 

 

取材日:2011年7月20日

名古屋フォレストクリニックの外観

名古屋フォレストクリニック


〒459-8001
愛知県名古屋市緑区大高町字小黒見山15-11
TEL:052-624-4010

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