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患者さんの日常生活を見つめ、認知症の早期発見を
<山梨県甲斐市 ながせき頭痛クリニック>

ながせき頭痛クリニック 院長 永関慶重先生 院長 永関慶重先生

「ながせき頭痛クリニック」は、日本初の頭痛クリニックとして2003年に開業しました。「もの忘れ外来」では、認知機能検査や画像診断だけでなく、院長とスタッフの連携でADLの障害もチェック。認知症患者さんとその家族を心身ともにサポートしています。

心や脳の働きに興味を持ち それが開業のきっかけに

院長の永関慶重先生は、大学の医学部脳神経外科の助教授として臨床と研究、学生の教育に携わるなかで認知症に興味を持ち、脳神経外科・循環器科の専門病院で認知症の診断と治療に携わってきました。そして、ストレスの心と体への影響や、脳の機能などについての勉強と研究を重ねた上で、2003年、日本初となる「頭痛クリニック」を開業しました。

標榜科目は脳神経外科と心療内科ですが、クリニックには開業当初から「もの忘れ外来」という認知症診断のための専門外来を設置。永関先生は、頭痛とうつ病などの精神疾患、認知症は互いに関係し合っていることも多く、一般の診療ではなかなか診断がつきにくいと言います。専門機関で検査をすればすぐに診断がつくケースでも、一見しただけでは認知症だとわからず、「異常なし」と診断されてしまうこともあるのです。

「臨床現場でのそういう経験から、頭痛だけで心や脳の病気をサポートしないのでは、片手落ちだと感じたのです。名前は『頭痛クリニック』ですが、『頭痛』と『うつ』と『認知症』を診療の3本柱としています」(永関先生)。

もの忘れ外来は月に2回の診療で、現在、1カ月に約200人の患者さんが訪れています。

 

効率良く障害の内容と程度を 把握し、迅速な診断を

ながせき頭痛クリニック 心理職 小宮優さん 心理職 小宮優さん

もの忘れ外来では、言語聴覚士による認知機能検査や、頭部MRIによる脳萎縮の確認などで迅速な診断を行っています。スクリーニングテストを受け持つ心理職の小宮優さんは、こう言います。

「検査もいくつかあるので、あまりお待たせして患者さんが疲れないように、効率良く受けていただけることを心がけています」 。

時間短縮を目的に、長谷川式やMMSE(認知機能検査)をより簡便にし、iPadを利用したクリニック独自のスクリーニングテストを開発。まずこのスクリーニングテストを受け日常生活における障害の内容や程度を把握した上で、永関先生が診療しています。

永関先生は、認知機能だけでなく、ADL(日常生活動作)のなかで具体的にどのようなことが、どの程度障害されているのかを把握することが重要と言います。ただ、「もの忘れがひどい」という患者さんが来院したときは、どういうときに、どういうことでもの忘れをするかを具体的に日常的なことから拾い上げるのは、とても難しい現状があります。

例えば、同じものを何度も買ってしまって冷蔵庫がマヨネーズだらけになってしまう、ガスの消し忘れといった即時記憶障害があるか、食べこぼしはあるか、失禁はあるかなど、短時間で最大限の情報を収集できることが重要だと考えています。

 

「愛」を基本に、患者さんと 家族のサポーターに

もうひとつ、永関先生が患者さんの診療にあたるときに大切に考えていることは「愛」だと言います。認知症患者さんには、記憶はなくても感情は残っていることも多く、そういう患者さんのケアには特に配慮を要するとのこと。

「でも、家族など介護する側も毎日のことでストレス過剰になりがち。患者さんの訴えを丁寧に聞きつつ、介護者にも『よくがんばっていますね』と気を配ることを忘れないようにしています。患者さんと介護する人の間に溝を作らないように、うまく橋渡しするのが自分の仕事だと思うのです。介護する方も、理解してもらえると思えばイライラも軽くなるし、結果的にそれが患者さんにもプラスに作用する。愛を持って双方の精神的なサポーターになりたいと思っています」(永関先生)。

ながせき頭痛クリニック 薬剤師 永関三根子先生 薬剤師 永関三根子先生

そんな永関先生がモットーとしているクリニックの基本理念は、「誠心誠意・心地よさ・満足」。患者さんも家族も感情的にならず、心地よい住環境で過ごせるよう、まごころと愛をこめて患者さんの満足のために努力する、という意味を持っています。薬剤師の永関三根子先生は、「スタッフ全員が心をひとつにして心がけている」と言います。

「いつでも『患者さんがいちばん』という気持ちで仕事をしています。薬の相談はもちろん、患者さんにもご家族にも、なるべく詳しく話を聞いて、様々なサインを見逃さないように、『来て良かった』と思って帰っていただけるようにと考えていますね」(永関三根子先生)。

このように、いつも患者さんを第一に考えるスタッフのことを、永関先生も大切に考えています。

「毎朝スタッフの顔を見て、表情から『元気かどうか』をうかがったりしています。何かあったときには微妙な変化にもすぐ気づき、サポートできる立場でいたいですね」(永関先生)。

 

「年のせい」ではなく 「脳の病気」と理解してもらう

認知症の治療においては、「介護9割、医療1割」と言われるほど、介護の占める割合が絶対的に多いと考えられています。認知症患者さんの家族は、心のどこかに患者さんを病気だと認めたくない気持ちがあるケースも多いもの。永関先生は、もの忘れも周辺症状も、単なる「年のせい」ではなく、「脳の病気」だと家族に理解してもらい、受け入れてもらうことが治療の第一歩だと言います。

「病気が体の運動を司るところで起これば半身不随になる。記憶するところで起こるからもの忘れをする、理性で考えるところで起こるから暴言が出るのです。手足が不自由じゃなくても病気なので、半身不随の人を介護するのと同じように、介護してあげましょう、と説明します。それを理解し、受け入れることで介護者のストレスが軽くなることもあるのです」(永関先生)。

ながせき頭痛クリニック 臨床検査技師 長谷佳子さん 臨床検査技師 長谷佳子さん

臨床検査技師の長谷佳子さんも、家族の表情が明るくなると患者さんの表情も明るくなると話します。

「機能検査のとき、症状がすすむときちんと答えられない患者さんもいらっしゃるんですけど、付き添いのご家族は『大丈夫だよ』とニコニコしています。認知症を受け入れて、ご家族みなさんで明るくやっていこうという気持ちを感じると、とてもうれしいですね」(長谷さん)。

 

患者さんは教科書  模範解答はないのが醍醐味

永関先生は、認知症の進行を遅くし、変化が少なく安定的に元気でいるためには、早期発見と早期治療が大切だと考えています。そのためには、様々な症状を「年のせい」と考えず、「気づく」ことが重要なのです。特に認知症のBPSD(周辺症状)は非常に多種多様で、ひとりひとり全て異なり、確立化された病態はないと言われています。

脳細胞の全く同じ場所に病気が起こるということはまずありません。人によって場所も、進行の度合いも違うため、症状も千差万別、多種多様で、一筋縄ではいかないことも。そのため、それぞれの患者さんに合ったケアの指導が重要なのです。

「毎日毎日勉強で、患者さんが教科書です。医学部の教科書には書いていないことを患者さんはたくさん教えてくれる。でも、答えを持っていないことも多くて『あんた、これわかるかい?』と問題だけ持ってくるんです(笑)。いつも試されているようで、でも、実際にやってみてわかることも多くて、それがこの仕事の醍醐味でしょうね」(永関先生)。

頭痛だからと鎮痛剤を、うつ病だからと抗うつ剤を処方するだけの医療とは真逆の位置で、これからも患者さんの心に深く入り込んでいく医療を目指したいと、永関先生は考えています。

 

 

取材日:2011年7月2日
ながせき頭痛クリニックの外観

ながせき頭痛クリニック

〒400-0124 山梨県甲斐市中下条1844-3
TEL:055-267-2211

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