ホーム > 地域から探す【関東信越】 > 神奈川県 > 神奈川県横浜市 ばんどうクリニック
医療機関を探す

認知症ケアの街づくりをめざして
<神奈川県横浜市 ばんどうクリニック>

ばんどうクリニック 院長 板東邦秋先生 ばんどうクリニック 院長 板東邦秋先生

平成18年に開業したばんどうクリニックは、総合的な健康管理を医療方針とし、ひとりひとりに適切なテイラーメイド医療を実践。認知症ケアの街づくりをめざして、専門医療機関、開業医、行政を結びつける役割を果たし、日本医師会が進める認知症の「かかりつけ医」、「サポート医」となり地域の認知症コア病院として積極的に取り組んでいます。

認知症はあくまでも症状。総合的な診断が基本

藤沢市民病院で脳外科医として勤務していた板東先生は、特発性正常圧水頭症の危険性を訴え、その治療に取り組んでいました。特発性正常圧水頭症は老人性の認知症と同様の症状が出ますが、手術などの治療で改善します。しかし、症状だけからの判断では区別がつかず、適切な治療を受けられていない患者さんも多いのです。

「認知症は治らないと思い込みがちですが、認知症の症状が出ていても、水頭症を原因とするなど5〜10%は手術などの治療で治るものがあります」と説明する板東先生は「だから症状だけで判断せず、総合的に診断をすることが大切」と強調します。

ばんどうクリニックを開業して以来、毎日多くの認知症を訴えて受診する患者さんをみている板東先生は、圧倒的に多いのは老化現象として発症した認知症だと言います。ですが、認知症で受診するすべての患者さんに対して、まず話を聞き、MRIやCTなどの画像診断も含めた詳細なデータをとり、総合的な診断をつける、この姿勢は崩しません。そのうえで、老化としての認知症だと判断した場合は、オプティマル・エイジング(optimal aging : 老化するスピードを緩め、適切に老化する)のための治療を行います。オプティマル・エイジングは全身管理を必要とするもので、脳の機能だけをみるのではなく、患者さんの生活習慣(食事、運動など)や生活環境改善へのアドバイスも重要な治療です。

 

プライドを尊重しながら、納得してもらえる治療を

認知症というのは、もの忘れ、見当識障害、高次機能障害を起こし、正常な社会生活が営めなくなった段階で判断されるもの。でも認知症を発症した患者さんにもプライドは残っています。また、患者さんには病気であるという認識がなく、認知症扱いされることを不愉快に感じ、治療を拒否する人も多いのです。だから治療にあたっては、本人のプライドを尊重し、同時に家族の理解と受け入れを促すような対応が不可欠です。

「もの忘れがどんどんひどくなると困りますから、ちゃんとみておきましょうね、と本人には認知症であることを告知するのではなく、症状を悪化させないための治療を受けるように促します」と板東先生は治療姿勢の重要性を語ります。

ばんどうクリニック 看護師 平良木尚美さん 看護師 平良木尚美さん

また、「多くの家族は、自分を育ててくれた親が認知症になった姿を受け入れられないのです。ですから私たちが家族の戸惑いを受け止め、話をじっくりと聞くことも患者さんの生活環境を整えるためには必要な治療の一部なのです」と看護師の平良木さんは家族も含めた治療環境を整えることの必要性を指摘します。

 

情報の共有と信頼関係の構築が良好な医療環境の基礎

ばんどうクリニック 看護師 板東文さん 看護師 板東文さん


ばんどうクリニック 看護助手 早川亜紀子さん 看護助手 早川亜紀子さん

患者さんのプライドを尊重し、患者家族への精神的なサポートにも気を配りながらの治療は、医療スタッフ間の情報共有が欠かせません。「情報共有の基本はスタッフ間の信頼」と語る看護師の板東さんは「患者さんや家族にとっては、医療スタッフは誰でも同じように対応できて当然なのです。スタッフによって対応が異なったり、たらい回しにされると、あの看護師が悪いというクレームではなく、ばんどうクリニックは悪い、という評価になります。私のミスはみんなのミスになるのです。ですからクリニックの方針や意識は統一される必要があります」と意思疎通の重要性を強調します。

ばんどうクリニックでは、ひとりの患者さんの情報をまず看護師が問診表をみながら聞き取り、医師に伝え、さらにリハビリ担当者に伝達します。患者さんごとの情報をつねに共有することで、テイラーメイドの医療環境を実現しているのです。

「患者さんがいきなり先生に相談すると、限られた時間のなかでの診察なので、患者さんは緊張していたりで言いたいことの半分も言えなかったりします。看護師の私たちが、まず丁寧に対応することで、診察や治療の質を向上させられると意識しています」と看護師の平良木さん。「リハビリを担当しているときも、耳が遠くてなかなか話を聞き取れない患者さんについても、相手をしながらじっくりと聞き取りをし、またその時々の様子を看護師さんに伝えるなど、スタッフ間の風通しを良くすることが、結局は患者さんひとりひとりの医療を充実させているのだと感じています」と看護助手の早川さんは、ばんどうクリニックには、板東先生を軸としたスタッフ間の風通しの良さ、チームワークの良さがあると言います。

 

認めて、共感して、褒める治療  めざすは、アミューズメントパークのような病院

患者さんの生活背景や環境にも注目した治療姿勢を重視しているばんどうクリニックがめざすのは、アミューズメントパークやホテルのような病院です。

一般的に認知症の治療方針は、投薬をして発症を抑えますが、介護を拒否するなど治療が継続できない場合も少なくありません。しかも、事務的に薬を処方するだけでは継続して服用しない可能性もあり、通院すら中断する患者さんもいます。そのために患者本人が受診すること、病院に来ることを楽しめる環境をつくることは重要です。

ばんどうクリニック 診療放射線技師 髙澤麗子さん 診療放射線技師 髙澤麗子さん


ばんどうクリニック 看護助手 山川悦子さん 看護助手 山川悦子さん

ばんどうクリニックでは、すべての医療スタッフが、患者さんをいつも見守っていることを実感してもらえる応対が必要だと考え、ホテルマンの接客を病院スタッフが行えるように心がけています。そして患者さんが笑うこと、楽しみを持つことを重視し、認める、共感する、褒める治療を行っています。例えば、「禁煙、節酒、野菜、果物、青魚、ウオーキング、趣味、生きがい、水分十分、塩分ひかえめ」という生活習慣病予防のキャッチフレーズをつくり、日々の心がけを覚えやすくし、「新聞朗読、一行日記、散歩、趣味、大笑い」という認知症予防の標語も勧め、治療を楽しめるように工夫もしています。

「患者さんと接する機会は、検査のときに応対する程度なのですが、できる限り丁寧に、わかりやすく、何度も声をかけるように心がけています」と言うのは診療放射線技師の高澤さん。「リハビリ室では常に音楽を流しているのですが、歌の好きな患者さんがいらした時は昔の歌謡曲等をかけて差し上げると、90才近い方なのですが、つえでリズムを取りながらとてもお上手に歌われます。スタッフやまわりの患者さんに拍手をされ、『お上手ですねー』と褒められ、とても喜んで帰っていかれます」と看護助手の山川さんは、自分の趣味を認められたときの患者さんについて語り「他人に認められ褒められると元気になるし、生きがいができると活動的にもなります。それが治療効果を高めているようです」と楽しい時間を持つことが認知症治療に効果的であると指摘します。

 

認知症キャラバンメイトを増やして認知症患者が暮らしやすい街をつくる

「認知症の介護は大変です。患者さんに優しくなれず自己嫌悪で気が滅入る人が多い。でも家族が向き合える時間だととらえることが大事」と語る板東先生を中心として、病院の枠を越えて取り組んでいるのは認知症患者が暮らしやすい街づくりです。

現在、日本に200万人くらいとされる認知症患者は、2035年には337万人に上るとの推計が出ています。当然、老老介護、認知症老人単独生活という状況も多くなります。そうなったときでも、認知症の人たちが安心して暮らせる街づくりをめざしているのです。
その活動のひとつが、認知症キャラバンメイトの育成です。認知症キャラバンメイトは、認知症について広く一般市民に知ってもらうためのイベントや講習をしたり、認知症患者さんのサポーターとして活動をする人たちで、認知症講習を受けると資格とサポーターの証であるオレンジリングがもらえます。

患者さんも成長を楽しみにしているメダカをクリニック玄関前で飼育しています 患者さんも成長を楽しみにしているメダカを
クリニック玄関前で飼育しています

「例えば、銀行員が認知症キャラバンメイトの資格を持っていれば、認知症の人がひとりで銀行に行って、お金の出し方や何をしに来たのかさえもわからなくなっても、適切に対応できるでしょう。そういう社会だったら、認知症のひとり暮らしが増えても、ある程度はケアできます。社会全体でケアできるのです。」と板東先生は認知症ケアの街の姿を語ります。そしてそのためには、「地域ネットワークを構築し、幼稚園や小学校の教育にも福祉に対する意識を養うような視点を入れるべきだ」と強調します。

高齢社会がますます深刻化していく日本において、ただ家族だけが抱え込んで認知症に向き合うのでなく、行政と専門医療機関、地域が連携した街でケアできる環境づくりは重要であり、早急に実現すべき課題だと言えます。

 

 

取材日:2011年6月13日
ばんどうクリニックの外観

医療法人順神会 ばんどうクリニック

〒679-5165 神奈川県横浜市泉区和泉町514-8
TEL : 045-800-3934 

施設のホームページへ


【関連施設】

医療法人順神会 横浜緑園丘の上クリニック

施設のホームページへ

この記事のURLをメールで送信
医療機関を探す
新着施設から探す
地域から探す
  • 北海道 近畿
  • 東北 中国
  • 関東・信越 四国
  • 東海・北陸 九州・沖縄
カテゴリーから探す
  • 社会が考える認知症予防・治療・戦略
  • 日常診療における創意工夫
  • チーム連携のさらなる充実
  • ふれあいつながる作品展
  • バアちゃんの世界
  • バアちゃんの世界からわかる認知症の症状と対応のヒント
  • 「笑顔とこころ」をつなぐ声
  • お薬(剤形)の選択肢が増えました
  • 患者さんとご家族のための認知症の知識
  • 認知症相談窓口
  • 認知症医療・介護に関わる知識を掲載認知症情報誌
  • 認知症サポーターキャラバン
  • サイト運営企業の取り組み
  • 医療関係者の皆さまへ
トップページへ